2015年 09月 20日
大阪松竹座
関西初の洋式劇場として誕生
開館当時は洋画の封切館として、多くの名作が上映された。キネマ・ファンはモダンでインテリの象徴、映画館建築は時代の最先端を行くスポットであった。道頓堀に面した江戸時代からの芝居小屋街に、大きなアーチ窓を持つネオルネッサンス様式の映画館が建設された。設計者は劇場建築の名手と云われる木村得三郎で、京都の弥生会館、歌舞練場なども手掛けている。
元来この辺りの建物は船でやってくる役者や観客のために道頓堀に面して建てられたそうで、前の道路巾は狭くて全体像が写せないし、普段歩く人にはこの華麗なアーチ窓は見えにくい。改めて見上げててみると細やかなテラコッタの装飾が施されている事に気付く。
平成に入ってから、正面の外壁を保存して建替えられ、歌舞伎などを上演する劇場に生まれ変わった。【今は外壁しか残っていない】
所在地:大阪市中央区道頓堀1-9
建築年:1923年(大正12) 外壁保存建替え1997年(平成9)
構 造:鉄筋コンクリート7階建・地下2階(当初は5階建)
設 計:大林組(木村得三郎)
大阪都市景観建築賞(平成10年度)











映画の字幕のような文字で 松 竹 座。もしくは道頓堀の水面? おもしろい書体で気になった。
2015年 09月 13日
ダイセル異人館
西洋人技師が暮らした洋館
ダイセルの前身である日本人造絹糸株式会社として1908年(明治41)設立された時、セルロイドの技術指導のためにイギリスやドイツ、スイスから招いた技術者の宿舎として建てられた洋館。19世紀末のイギリスのコテージ風の意匠で、アメリカのコロニアルスタイルと共通点が多い。
第二次世界大戦中は陸軍監督官室として使われ、ダイセル創立70周年の1989年(昭和64)より「資料館」として一般公開されている。史上初の合成樹脂であるセルロイドは綿実から作られた自然素材でありながら自由な色や柄が作れるのが特徴。べっ甲や象牙の代替え品として、メガネフレーム、万年筆ボディなどに需要を伸ばし、またおもちゃにも用途を広げ、セルロイドといえばキューピー人形・・・女の子の居る家庭には必ずあったほど広く親しまれた。これらの懐かしい資料が展示されている。
所在地:姫路市網干区新在家1239
建築年:1910年(明治43)
構 造:木造2階建
設 計:設楽貞雄したらさだお(明治から昭和初期まで関西で活躍した建築家で初代通天閣、長瀬商店などを設計)
都市景観重要建築物(姫路市)
ひようご住宅100選






















黒いキューピーは日本国内に数体しか存在しない珍しい人形。この子は太郎ちゃんという名前が付いている。
衣掛クラブ
会社の迎賓館として現在も使われているクラブハウス。色彩は違うが資料館として公開されているものと同じ型の住宅。



もう一つ瓦葺の洋館が存在する。灯りがともり現在も使われているが用途などは判らない。




