2016年 07月 24日
名古屋市市政資料館 (旧名古屋控訴院・地方裁判所区裁判所庁舎)
大日本帝国憲法が公布された翌年、明治23年に近代司法制度が確立され、各地に新しい裁判所庁舎が建築されるようになった。この建物は名古屋に於いて、控訴院と地方裁判所、区裁判所の三庁舎を一カ所に集めることになり新しく建設された。構造は壁を煉瓦で組み、床、梁、階段などを鉄筋コンクリート造、屋根の骨組は木で造られている。このように煉瓦とコンクリートを併用した構造は近代建築が移り変って行く一時期特有のもので、この視点でも重要とされている。なお現存する控訴院の建物では当館が最古。
1922年(大正11)に竣工して1979年(昭和54)中区三の丸に新庁舎ができて移転するまで中部地方の司法の中心的役割を担ってきた。
1985年(昭和60)から1989年(平成元年)には、保存修理、復原工事が行われて現在市政資料館として、活用しながら一般公開されている。復原方針については現在の用途を生かしながらも可能な限り建築当初の姿に戻された。今回は時間的に見学ができなかったが、3階には重要文化財の内装指定を受けた会議室や、1階には留置所、便所など見どころが多いようだ。 (以上は平成23年度名古屋市政資料館年法を参考)
所在地:名古屋市東区白壁1-3(名城公園内)
竣 工:1922年(大正11)
構 造:煉瓦造及び鉄筋コンクリート造3階建、一部塔屋付
設 計:司法省営繕課(山下啓次郎・金刺森太郎)
山下啓次郎はジャズピアニスト山下洋輔の祖父にあたり、奈良少年刑務所など全国各地に刑務所を設計した人として知られている。
国登録重要文化財
モチーフである天秤の図案は罪と罰が吊り合う事を意味している。